今回はペップ・グアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティの 4-3-3 攻撃戦術を解説していきます。
ちなみに今回マンチェスター・シティの戦術を分析する上で参考にした試合はFAコミュニティ・シールドのリバプール戦です。
両チームのスターティングメンバーは上の画像の通りです。
コパ・アメリカやアフリカ・ネーションズカップに出場していた選手は休暇期間を経ての合流となっているため、コンディションが整わず出場していない主力級の選手も何人かいたようです。
そんな中、マンチェスター・シティはどのような戦術を用意してきたのか。興味がある方はチェックしてみてください。
チーム全体の攻撃戦術
リバプール戦におけるチーム全体の基本的な攻撃戦術は以下の通りです。
・中盤を経由するビルドアップ
・幅と深さを取ってピッチを広く使う
マンチェスター・シティは中盤を経由してボールを前につなぐチームです。パスコースがふさがれている場合は前線へのロングボールで起点を作るシーンも見られますが、基本は中盤の選手から攻撃を展開します。
また中盤からのビルドアップをスムーズにさせるべく、サイドの選手は幅を取りトップの選手は深い位置にポジションを取ります。ピッチを広く使い、スペースを作って攻撃を仕掛けるというのがマンチェスター・シティの攻撃の特徴です。
続いてはマンチェスター・シティの 4-3-3 戦術を「ゴールキーパー&ディフェンダー」「ミットフィルダー」「フォワード」のポジションごとに分けて紹介していきます。
それではまず「ディフェンダー」から見ていきましょう。
ゴールキーパー&ディフェンダーの攻撃戦術
個人戦術 | |
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GK | 後方からのビルドアップの際はCBの間に入って3バックを形成。 |
CB | ゴールキックの際はオタメンディがGKと並んで、ストーンズがアンカーと並んで中央でパスコースを作る。 後方でパスコースを確保。 |
SB | 自陣では幅を取る。 敵陣では中央にポジションを取り、数的優位を形成。 ウイングのサポートをする。 |
FAコミュニティ・シールドのリバプール戦では正GKのエデルソンではなく、第2GKのブラボがゴールマウスを守っています。そんな中、この試合ではゴールキーパーもビルドアップに参加し、数的優位な状況を作るシーンが見られました。
リバプールの3トップのプレッシングに対して、マンチェスター・シティはゴールキーパ-とセンターバック、アンカーを含めた4人で対応しています。
ブラボも足元の技術に優れたプレイヤーですが、エデルソンがこの戦術ではどう機能するか興味深いところです。
CBはゴールキックの際に1人がGKと並んでもう1人がアンカーと並んで中央でパスコースを確保していました。
これは2019-20シーズンからの新ルール(ゴールキックの際にペナルティエリア内でボールを受けることが可能)を受けて新たにペップ監督が始めた新戦術です。
左センターバックのオタメンディはGKブラボの横にポジションを取り、ストーンズはひとつ上にあがってアンカーのロドリと横並びになります。こうすることで数的優位を確保しつつ前へのパスコースが増え、ビルドアップしやすい状況になっています。
逆にオタメンディが高いポジションを取ってストーンズがGKと並ぶシーンも見られました。
SBは自陣では幅を取り、敵陣ではアンカーの脇にポジションを取ります。
またウインガーにボールが渡った場合はスライドして後方でパスコースを確保したり、ボールをロストしたときのために備えます。
ミットフィルダーの攻撃戦術
個人戦術 | |
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アンカー | ビルドアップの際は中央でパスコースを確保。 敵陣では後方からサポートする。 |
インサイドハーフ | WGとのコンビネーションでチャンスを作る。 |
アンカーはゴールキーパー&ディフェンダーの攻撃戦術でも解説しましたが、ビルドアップの際は中央でパスコースを確保し、敵陣では後方から前線の選手をサポートします。
インサイドハーフは基本的にハーフスペースにポジションをとり、ウインガーとのコンビネーションでサイドを崩します。
ちなみにハーフスペースは下の画像で示されている部分です。
例えば、13分38秒にはウイング(ベルナルド・シウバ)が幅を取って相手のサイドバックを引き付けています。そこでインサイドハーフのデブライネがCBとSBの間の広がったスペースに走り込んでボックス内でチャンスを作るというシーンです。
このようにシティではウイングとインサイドハーフが連携して攻撃を展開するシーンが多々見られます。
フォワードの攻撃戦術
個人戦術 | |
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WG | 敵陣では幅をとる。 |
CF | 最大限に高い位置でポジションをとる。 |
ウイングは敵陣ではサイドに張って幅を取ります。インサイドハーフのところでも解説しましたが、サイドに張ることで相手サイドバックを引き付けCBとSBの間にスペースを作ることができますし、相手の守備陣を混乱させます。
センターフォワードはオフサイドラインぎりぎりにポジションを取ります。こうすることで相手センターバックも不用意にポジションを離れられなくなるため、ピッチを広く使えるようになります。
まとめ
ここまでペップ・マンチェスターシティの 4-3-3 攻撃戦術を解説しましたがいかがでしたでしょうか。
今回は分析した試合は結果的にPK戦を制したマンチェスター・シティが勝利しています。この試合では2019-20シーズンからの新ルールを受け、GKもビルドアップに参加するシーンが多々見られました。連携を高めていけば今後よりスムーズなビルドアップが可能になると思います。
2019-20シーズンからマンチェスター・シティの新たなビルドアップは注目ポイントです。