サッカー

ブラジル代表・チッチの「変則型4-3-3」攻撃戦術を徹底解説【コパアメリカ・ペルー戦】

今回はチッチ監督が指揮を執るブラジル代表の攻撃戦術について解説していこうと思います。ちなみにこの記事で紹介するのはコパアメリカグループステージ第3節のペルー戦での戦い方です。

この試合は5-0でブラジル代表が勝利しています。Whoscored.comでは4-2-3-1と表記されていますが、やや変則的な4-3-3にも見えました。あくまで個人的な見え方ですので4-2-3-1だという方もいると思いますが、今回は4-3-3として紹介していきます。

それでは早速、ブラジル代表・チッチ監督の4-3-3の攻撃戦術を確認していきます。

ポジションごとの戦術

ここからはブラジルの戦術を「ディフェンス」「ミットフィルダー」「フォワード」のポジションごとに分けて紹介していきます。
それではまず「ディフェンダー」から見ていきましょう。

ディフェンダーの攻撃戦術

 個人戦術
センターバックボランチやサイドバックにパスをつなぐ。後方でパスコースを作る。
サイドバック高い位置を取らず後方でとどまり、中盤やWGにパスをつなぐ。前線に上がる際はインナーラップをする。


後方からのビルドアップ時にはセンターバックとサイドバック、それに加えボランチ(カゼミーロ&アルトゥール)の選手が関わります。
センターバックはボランチやサイドバックにパスを出し、中盤での攻撃が上手くいかなかった時のために後方でパスコースをつくります。センターバックからのパスを受けたサイドバックは中盤の選手やウイングへとボールを供給していました。

フェリペ・ルイス(左サイドバック)からコウチーニョ(左インサイドハーフ)へとパスがつながり、チャンスを作ったシーン↓

また、敵陣での攻撃時はウイングがサイドに張る戦術をとっていたため、サイドバックはウイングの内側を駆け上がるインナーラップをしていました
特に左サイドのエベルトン(左ウイング)とフェリペ・ルイス(左サイドバック)のコンビネーションは優れていて、ペルー戦ではカットインをするエベルトンに対し、フェリペ・ルイスは外に流れる動きでディフェンスを引き連れてスペースを作り出しゴールを生み出していました。

ミットフィルダーの攻撃戦術

 個人戦術
ボランチ基本的に後方にとどまる。ウイングの裏へ抜け出す動きに合わせるロングフィードを出す。
インサイドハーフ①(アルトゥール)後方と前線をつなぐコネクト役。後方からのビルドアップ時にはカゼミーロとダブルボランチのかたちを組む。
インサイドハーフ②(コウチーニョ)基本バイタルエリアでボールを待ち構える。後方からのビルドアップ時には下がって中盤の数的優位を確保することも。


ボランチのカゼミーロは敵陣で攻撃参加せず、相手のカウンターに備え後方で守りを固めます。後方からのロングフィードはカゼミーロの持ち味でサイドでフリーのプレイヤーがいれば精度の高いロングボールを通します。

インサイドハーフは片方(アルトゥール)が低めに構え、もう片方(コウチーニョ)が高めにポジションを取ります
アルトゥールは主に後方でのパス回しに参加し、プレッシングをかわしながら前線と最終ラインをつなぐ役割を担っていました。それに対しコウチーニョは主にバイタルエリアにポジションを取り、絶好機を演出するパスを前線へと供給します。

ただ、ペルー戦の前半立ち上がりでは中盤のプレイヤーがアルトゥールに激しくプレスを仕掛け、ミットフィールドでなかなかボールを支配できない状況が続きます

そこでチッチ監督はコウチーニョや前線のフィルミーノをビルドアップの際に下げさせ、中盤での数的同数、または優位な状況を作らせます
ちなみに31分の得点シーンの前段階は中盤での数的同数の状況を作り出し、エベルトンの得意な状況に持ち込んでいます。

エベルトンの上手さがあってのゴールですが、チッチ監督の戦術修正が見事にはまって生まれた得点といえるでしょう。

フォワードの攻撃戦術

 個人戦術
センターフォワード前線でディフェンスラインと駆け引きし、プレーエリアに深さを作る。中盤の数的優位を確保するために後方に下がってボールを散らす役割も果たす。
ウイング①(エベルトン)サイドに張ってプレーエリアに幅を作る。カットインや裏へ抜け出す動きでチャンスを作る。
ウイング②(ジェズス)サイドに張って幅を取る。相手のスライド守備でフリーになったときディフェンスラインの裏をつく。


センターフォワードはプレーエリアに深さをつくり、ウイングはプレーエリアに幅を作ります。

「深さ」と「幅」を作り出す意味について紹介しますと非常に長くなってしまうためまた別記事で紹介しますね。とりあえずここでは、深さと幅を取ることで相手の守備が広いスペースをカバーしなければならなければなくなり、その分スペースが空きより攻めやすくなると覚えておいてください。
幅を取るブラジルに対し、4-4-1-1のスライド守備で対応していたペルーですが、右ウイングのジェズスがディフェンスの背後をつく動きを幾度となく見せます。そうすることで相手のサイドバックもマークを強めてきますから、そこでセンターバックとサイドバックの間に大きくスペースが空きブラジル側も攻め込みやすくなります。

また基本的にプレーエリアに深さを作るフィルミーノは、前半の中盤あたりからミットフィールドで数的優位を確保すべく、偽9番の役割もこなします。中盤でボールを回し、空けたスペースにジェズスが入ってチームに変化をもたらしていました。

まとめ

今回初めてチーム戦術を特集してみましたが、いかがでしたでしょうか。
チッチ監督のブラジルはプレーエリアに幅、深さをつくり、ポゼッションサッカーをするチームです。ペルー戦では各選手の強みが遺憾なく発揮され、5-0という結果で勝利を収めました。もちろん選手のレベルが高いという意見もあると思いますが、この試合のブラジルは攻め方が明確でうまくいかない部分は試合中に修正してその後得点につなげていました。

各プレイヤーの特徴を活かし、素晴らしいプレーを見せたブラジル。コパアメリカ・グループステージは首位で通過したということで決勝トーナメントではさらなる強豪と戦うことになります。
今回紹介した戦術をもとに次なるブラジルの試合も楽しんでみてださい。